2021年6月に改正された育児・介護休業法で新設された制度です。
報道ではよく「男性版産休」という形で紹介されることがあります。
2022年10月1日から施行される「産後パパ育休」の特徴・給付金・社会保険料の免除などをわかりやすく説明します。
当記事はこちら(育児・介護休業法について|厚生労働省 (mhlw.go.jp))を参考にまとめています。
法改正に伴い、2022年4月1日から段階的に施行されます。4月1日から施行されることを知りたい方はこちらの記事を参考にして下さい。

産後パパ育休を取得できる条件
対象者
基本的には制度が開始となる2022年10月1日以降に生まれたすべての労働者が対象。
パパ休暇と産後パパ育休は合計28日間の取得が上限。
例:【9月1日に出産。10日間のパパ休暇を取得した場合】
10月1日から取得できる産後パパ育休は18日間までになります。
対象外となる場合
有期雇用労働者(契約社員)は、出生日から8週間が経過する日の翌日から6ヶ月を経過するまでに、契約が満了することが明らかな場合。
雇用形態を問わず、労使協定の締結により以下に当てはまる人は対象外になる場合があります。就業規則に下記規定がないか職場に確認をしておくといいです。
- 雇用された期間が1年未満
- 週の所定労働に数が2日以下
- 申請の日から8週間以内に雇用関係が終了
産後パパ育休ってどんな制度? 3つの特徴
「産後パパ育休」とは、今までの育児休業とは別に、パパが赤ちゃんの出生日から8週間以内に4週間の育児休業を取得できる制度。
取得の申請期限が原則2週間前
今までの育児休業では育休取得の申請期限が1月前。
産後パパ育休では原則2週間前となります。
出産予定日が早まった場合でも、産後すぐに育休に入りやすくなります。
2回に分けて取得が可能
2回に分けて取得が可能です。
これにより、長い期間仕事を休めない場合でも取得しやすくなります。
分割する場合は出生後8週間のうち、どの期間で休業して・どの期間で就業するのかを産後パパ育休を申請する際に伝える必要があります。
休業中も一定量働いて大丈夫
今までの育児休業では原則就業禁止でした。
産後パパ育休では労使協定をあらかじめ締結している場合には、定められた範囲で仕事をして収入を得ることが認められています(後述する育休中の収入で詳しく説明します)。
※産後パパ育休制度に創設に伴い「パパ休暇」は廃止になります。
産後パパ育休 育休とは別に取得可 |
育児休業制度 (R4.10.1~) |
育児休業制度 (現行) |
|
対象期間 取得可能日数 |
出生後8週間以内に 4週間まで取得可能 |
原則子が1歳 (最長2歳)まで |
原則子が1歳 (最長2歳)まで |
申出期限 | 原則休業の2週間前まで | 原則1ヶ月前まで | 原則1ヶ月前まで |
分割取得 | 分割して2回取得可能 (初めにまとめて申し出ることが必要) |
分割して2回取得可能 (取得の際にそれぞれ申出) |
原則分割不可 |
休業中の就業 | 労基協定を締結している場合に限り、労働者が号した範囲で休業中に就業することが可能 | 原則就業不可 | 原則就業不可 |
1歳以降の延長 | × | 育休開始日を柔軟化 | 育休開始日は1歳、 1歳半の時点に限定 |
1歳以降の再取得 | × | 特別な事情がある場合に限り再取得可能 | 再取得不可 |
産後パパ育休中にもらえる給付金
給付金は「出生時育児休業給付金」になります。
通常の育児休業を取得する場合は、別に「育児休業給付金」を受給出来ます。
3つの受給要件
- 休業開始前の2年間に賃金支払いの対象となった日が11日以上ある。
ない場合は就業している時間数が80時間以上の月が12ヶ月以上ある。 - 産後パパ育休の取得日数を28日としたとき、休業中の就業日数が10日(10日を超える場合は80時間)以内である。
- 取得日数を28日より短い期間で取得する場合は、就業日数が②に比例した日数または時間数以内である。
見落としたくない申請期限
出生日から8週間後の翌日から数えた2ヶ月後の月末まで
例:10月15日に生まれた場合、申請期限は翌年2月末日までとなる。
申請は事業主がハローワークへ行う。
必要書類を職場に確認してみて下さい。
知っておきたい給付金の計算方法
休業開始時の賃金67%
※休業開始時の賃金=休業開始前6ヶ月間の賃金から賞与を引いた額÷180
産後パパ育休中に就業をして収入を得た場合は、休業中の賃金額と出生時育児休業給付金の合計が「休業開始時の賃金日額×産後パパ育休の日数」の80%を超えるときは、超過分が出生時給付金から減額されます。
知っておきたい社会保険料が免除される要件
どちらかの要件を満たしていれば、産後パパ育休期間中の月給・賞与にかかる社会保険料が免除される。
- その月の末日が育児休業期間中である場合
例:5月30日~6月3日の5日間産後パパ育休を取得した場合は5月分の保険料が免除 - 同一月内で育児休業を取得(開始・終了)し、その日数が14日以上の場合(産後パパ育休中に就業した日数を含まない)
※賞与にかかる保険料の免除は連続1ヶ月以上の産後パパを取得した場合に限る。
住民税は免除の対象ではない
知っておきたい休業中に行う就業
前述したように、労使協定をあらかじめ締結している場合は、産後パパ育休中も働くことができます。
就業を希望する場合、産後パパ育休開始予定日の前日までに「就業可能日」と「就業可能な時間帯」などを申し出る。
その後事業主との合意のうえで、就業日数や時間を決定する。
【休業中の就業日数と時間の上限】
- 休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分
- 休業開始・終了予定日を就業日とする場合は、当該日の所定労働時間数未満
- 例:週5日、1日8時間働いている社員が産後パパ育休を2週間取得する場合
⇒休業中に働ける日数は5日まで。
時間は40時間までが上限。
休業開始日・終了日の就業は8時間未満。
産後パパ育休で育児に参加しよう
産後パパ育休は分割で行える点や就業できる点で現行のパパ休暇よりも取得しやすくなったと思います。
その結果出産後で身体的・精神的に不安定なママをサポートしやすくなりました。
産後間もないママと協力して、夫婦で赤ちゃんの成長を見守り、共有することが出来ます。
育休を通して奥様とコミュニケーションを取りながら家族として最良の形を作り上げていけると良いと思います。
3ヶ月育児休暇を取得した私が妻や職場とどのような相談をしながら取得に至ったかをまとめた記事がこちらなのでこれから取得する予定の方は参考にして下さい。

産後パパ育休を取得する上で検討材料として知っておきたい、産後ママの1ヶ月の状況を知下記記事にまとめているので参考にして下さい。
